リスク
日本で報告されている針刺しの原因器材の第2 位は縫合針である。手術部の職員は病院の他の部署よりも過小報告が多いことから、縫合針による損傷の実際の頻度ははるかに高いものと推測される。縫合針による皮膚損傷は、針の使用後よりも患者への使用中や器材の受け渡し時に、針刺しが多発する点が特徴的である。エピネット日本版のデータによると48.5% が縫合中に発生し、針の手渡し時(20.4%)、または分解時(5.3%)、使用後から廃棄するまでの間(4.8%)に発生している。したがって、廃棄のみに焦点をあてた予防策よりも縫合中や使用途中の損傷を減少させる対策が効果的だろう。 縫合針による受傷者の職種は、医師が過半数で、あとは看護師である。したがって、縫合針を用いた医療行為を実施する使用者だけでなく、それを補助する作業者との共同作業における、予防対策を検討することが重要である。対策