個人用防護具(PPE)とは
個人用防護具 personal protective equipment: PPE
 医療現場においては、人に危険な病原体の曝露によ り健康な医療従事者が重大な疾患に感染してしまうと いう痛ましい報告が後を絶たちません。血液や湿性生 体物質から医療従事者を守るために、スタンダードプ リコーション(標準予防策)の実施率を高めること は大変重要です。そのためには針刺し切創防止のため の安全対策器材の使用と、血液または湿性生体物質 に触れる可能性がある場合の個人用防護具(personal protective equipment:PPE)の使用を徹底しなければ なりません。
 主なPPE としてガウン、手袋、マスク、キャップ、 エプロン、シューカバー、フェイスシールド、ゴーグ ルなどがあります。
 米国Centers for Disease control and Prevention(CDC) は、1996 年の隔離予防策のガイドラインにおいて、「病 原体と宿主因子はコントロールが困難であるので、微 生物移動の阻止は感染経路に向けられるべきである」 としています。したがって、感染経路を遮断するため の有効な手段がPPE であり、いかに適切に使用するか が大切です。

ガウン、エプロン、その他の保護衣
 血液や湿性生体物質が、飛散してくる可能性がある 場合に着用します。液体が浸透しない素材のガウンま たはプラスチック製のエプロンを着用すべきです。ま た、多剤耐性菌に関連する処置においても同様のガウ ンを着用すべきであり、できれば単回使用(ディスポー ザブル)のものが望ましいでしょう。リユースできる 素材を選択する場合には、熱水洗濯もしくは次亜塩素 酸ナトリウムに浸漬可能な素材のものを選びます。
 ガウンは、長袖で袖口の締まったもので、医療従事 者の皮膚をなるべく広範囲に覆うことができる形態の ものが推奨されます。

手袋
 感染性物質に触れる場合には、ゴムまたはプラス チック製の手袋を着用します。手袋を脱いだときには 必ず手指消毒を行います。  手袋の着用は手洗いの代用にはなりません。  手が生体の創や無菌の領域に触れる場合には、滅菌 手袋を着用しなければなりません。

マスク、ゴーグル、フェイスシールド
 マスクは、患者からの飛沫がある場合に使用します。 目や鼻や口への汚染を防ぐ場合には、フェイスシール ドの着用が推奨されます。
 結核菌に対しては、N95 マスクを着用すべきです。 その他の飛沫感染防止にはサージカルマスクが望まし いでしょう。サージカルマスクは5μm より大きい飛 沫粒子を防護できる性能を有しています。対応する肺 結核患者がサージカルマスクを着用していない場合に はスタッフはN95マスクを着用しなければなりません。

キャップ、シューカバー
 キャップは、髪の毛が汚染される可能性のある場合 に着用します。一方では、髪の毛が落下しないよう、 手術室などの清潔領域の環境汚染防止のために着用し ます。
 シューカバーは、自身の足が汚染されることを防止 するために着用します。したがって、清潔領域に入る 場合に一律的に履物交換及びシューカバーの着用を推 奨するものではありません。

 
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